第11回 府中文化村

講演・交流会

「新電力と私たちの生活」

【2015年02月18日開催】 

みなさんは来たる2016年に家庭電力自由化が始まることを知っていますか。今の私たちの世の中では電力会社は東京電力など決まっていることや、近年増加してきているとはいえ、未だ電力を買ったり売ったりというシステムを利用する家庭は少なく、「自由化」と一口に言われても十分理解することができないのではないでしょうか。

今回は講師に新電力事業を推進している株式会社エナリスの棚橋さんを講師にお招きして、2016年からの私たちの電力事情はどのように変わっていくのかを講演していただきました。

 

そもそも電力自由化に至るまでの経緯はどのような過程だったのでしょうか。

昭和39年の電気事業法の制定から度重なる制度改正を伴い現在に至る訳ですが、戦後の国民経済の発展を意識したものから事業として、さらにはそこに競争原理までも導入させるまでにこの電気事業は発展してきました。

今回の電力自由化はこうした制度改正の経緯を踏まえたものとなる訳ですが、つまりこの電気事業は現存する独占体制でなく、民間企業や民間の事業として電気事業を行っていく体制に変遷したということだそうです。

では私たちの家庭において、実際どういった変化があるのでしょうか。

棚橋さんによれば現在、2016年からの電力自由化に伴い民間企業、たとえば携帯会社が携帯電話料金と家の固定電話料金のセット割のように、電気料金パッケージプランなどを販売することもあり得ると言います。

我々にとって必要不可欠のライフラインである電気やガス、水道のようなインフラがこうした市場に踊り出ることで、安価で電力を仕入れ、安価で家庭に売るという売買方法をとることができれば現在よりも安く、そして自家で発電した電気を事業者に自由に売買することができ、ある電力コミュニティーが形成されれば電力使用や使用量から必要な情報を管理することも可能になります。また、地方など地産地消を活かしたふるさと電力などのブランドも生まれるかもしれません。

その反面、そうした個人情報保護面で何らかのトラブルが発生する可能性があること、またインフラである電気がこうした市場原理に晒され、市場での歪みなどから安定的に供給されなくなってしまうことがあるのか。今までの独占的市場であった電力事業に関する、業務やシステムの固有化によって新規参戦する事業者たちにとっては障害とならないのか。などなど。

問題は山積していることは確かです。この問題、例えば個人情報保護に関する取り決めも、実際の事業の変動により何かしらのトラブルが起きる可能性があります。

水などのようにインフラである「電気」がこの先どういった形で発展していくのか。ここにビジネスチャンスを模索するにせよ、電力事業にて家庭での自由化を活用するにせよ、今後の動向を見逃さないようにしなければならないと感じました。