第32回 府中文化村
「データで見る府中」
(2017.1.26開催)
今回の府中文化村は、「データでみる府中」です。
府中市は、私たちが住んでいる、働いている、遊びに来る、馴染みのある…など、抽象的に説明する手段を持ちます。たとえば、「府中はどんな街?」と聞かれたら何と答えるでしょうか。
具体的には「府中競馬場がある」「府中刑務所がある」「大國魂神社と馬場大門のけやき並木」「サントリー武蔵野ビール工場」など名所と呼ばれる場所、京王線府中駅は特急電車が乗り入れる都心にも郊外にもアクセスの良い駅が主要駅である。または緑が豊かな街。税金が安い街。子どもを育てるなら府中と呼ばれるほど、財政にも福祉的にも豊かな街など
人によってそれぞれですが、府中はこんな場所というフレーズはたくさん出てくるでしょう。
そんなイメージが本当にあっているのか。
それをデータ化したら、どんな府中が見えてくるのでしょうか。
講師は以前にO2Oマーケティングについて講演していただいた富田良治さんに、府中にまつわる様々な事象からデータにしたら見えてくる、「本当の府中」を語っていただきました。
府中市の基本データ
人口;101位(26万人)
面積:1467位(29.43㎢)
人口密度:44位(8,907.00人/㎢)
人口は多く、人口密度としても非常に高い街であることがわかります。
また「府中市」と言えば東京都と広島県で同名都市が存在します。
私も府中市の情報を調べる際や別都市に行った際に広島県府中市と一瞬間違えられそうになる経験がある。
本来市区町村の名称などは混乱をさけるため同名都市が決定されることはないが、「府中市」の場合は東京都府中市が『1945年4月1日』、広島県府中市が『1945年3月31日』に市制施行されたという歴史がある。
「府中市税金安い」神話は正しいか
府中市には府中競馬場があり、財政的に豊かで税金が安いと言われることがあります。
実際に府中市民は税金が安いと思っている方も多いようです。
しかし富田さんによると、住民税に関しては所得割で[税率10%]、均等割でも日本全国平均的でほとんどかわらず。
しかも国民健康保険に関しては[343,762円]とても安い街という訳ではないことがわかります。
府中市内には勢いのある企業が多いですが、「東京競馬場」が府中市にたくさんの税金を払っている。。。というのはどうやら真実ではないようです。
東京競馬場は、JRA(日本中央競馬会)が運営する特殊法人であり、この特殊法人は法人税や固定資産税などの納税が免除されており
府中市の財政にはほとんど関係がないとのこと。
公営ギャンブルでいうと、意外に思われがちな大田区にある平和島競艇場です。
平和島競艇場は府中市の持ち物として、バブル期には大変繁盛した伝説をもつそうです。
この繁盛期も衰退したものの、現在は持ち直し今ではある程度の府中市の財政には恩恵があると言われています。
競馬場があるから「府中市税金安い」神話はここに崩壊したのでした。
府中市の住みやすさ
府中競馬場が府中への財政の恩恵になっていないと考えられるならば、なぜ府中市は税金が安いと言われるのでしょうか。
それは府中市の住みやすさにあるのだと思います。
SUUMO(リクルート)が紹介する「住みたい街ランキング」では「吉祥寺」「恵比寿」などと錚々たる街が挙げられる中、府中市は毎年圏外ですが、HOMESが紹介する「住みたい街ランキング」で2008年ではなんと1位を獲得しています。
これは数年前のデータですが、富田さんによると、府中市の「官能」データから府中の住み良さがわかるといいます。
官能とは「感覚器官の働き」の意味として、「人間の五感で評価した都市」をランキングにしたデータ(『本当に住んで幸せな街』光文社より)では、
「街を感じる街」19位/134都市(全国)
「歩ける街」18位/134都市(全国)
「全国官能都市ランキング」31位
「東京都官能都市ランキング」15位
以上のように人の感覚として「住み良い街」という所与が府中市の「良い街」という雰囲気を与えているのだと思います。
「府中市は財政的に豊かで税金が安いから良い街」という固定観念を取り払い、
府中市は「歴史があって、それなりにお金をもっていて、住みたい街には興味ないけど住んだら意外と住み続けたくなる「官能的」な街」と考えて良いのではないかと思います。