第37回 府中文化村

みんなで考える歯の健康

(2017.7.26開催)

 

本日は府中市内の歯科医院「みどりの杜歯科クリニック」の宮田先生をお招きして「歯」について真剣に考えるための講習・講演会を行いました。

みなさんは自分の歯について真剣に考えたことがありますでしょうか。将来、歯が弱って歯が抜けていくことの不安がどこかにあり、歯を失うと困ることが私たちにはどこかにある。

そんな歯を失うと困る気持ちや不安がありながら、日々の忙しさなどから虫歯になったとき、歯が痛くて耐えきれなくなったときにしか歯科医に通院しない方が多いのではないでしょうか。

 

まず、なぜ歯が抜けるのか。

おじいちゃんおばあちゃんなどで健康な歯を持つ方もなかにはいらっしゃいますが、お歳を召した方が歯が抜け落ちた状態や入れ歯をされている状態を見た経験があるかもしれませんが

私たちの歯は「経年劣化」や歳をとったら歯が傷んで抜けてしまうということはまずなく、原因は「虫歯」や「歯周病」などの歯の病気なのだといいます。

これはぱっと見当たり前だと思われるかもしれませんが、逆説的に考えてみると歯が健康であれば老化しても歯は傷んで抜けることはないということです。

虫歯は歯が生え始める、入れ替わり始めるなどの歯が石灰化していない状態で虫歯になってしまうことが大半であり、う蝕した歯の状態を虫歯と呼んでいます。

 

「虫歯を治した数年後にまた虫歯に侵される」という経験をした方がよく居るようですが、宮田氏によると虫歯治療をした歯がまた虫歯になることはあり得ず、それは「歯科医師が完全に虫歯を治すことができていなかった」ということだといいます。

これは悪意があったわけでもなく、その理由は「医師」と「歯科医師」の違いにあると宮田氏は結論付けます。

 

「医師」とは医大または医学部を卒業し、医師国家試験に合格した者が「医師免許」を持って医療に従事する者であるのに対し、「歯科医師」には歯科大学などはなく、歯学部や歯学科を卒業したものが歯科医師国家試験に合格した者が「歯科医師免許」を持って医療に従事する者としている。

従って、「歯科医師(Dentist)」とは医師免許の意味での「医師(Doctor)」ではないのである。

諸説あるだろうが、宮田氏によれば歯科医師のルーツは抜歯を専門に行う人がおり、その他の彫り師などが詰め物を作るなどしていたため医学者たちの領域と口腔衛生は別ものとされてきたと言われます。

昔は虫歯などによる歯の痛みは抜歯することで痛みは治まり、虫歯を抜くことで事実上虫歯はなくなります。その考えやルーツが現代の歯科医療にも多くが受け継がれているのです。

つまり、歯科医師は歯を「治す」のではなく「直す」のが仕事ということになります。それは、虫歯になった歯を削って詰め物をしたり、場合によっては抜歯したりと「直す」ことをするのです。

 

それでは先に述べたように「歯科医師が完全に虫歯を治せていない」ということがある以上、良い歯科医とはどんな歯科医でしょうか。

歯科医の教科書において虫歯治療とは「軟化象牙質の徹底的な除去」だそうです。しかし、そのやり方が書いてあってもどこまでが虫歯の軟化象牙質なのか、どこまで削るのかは歯科医師の感覚に左右されるのが現実だといいます。

宮田氏によるとこうした虫歯部分を完全に除去し、そこに清潔な詰め物をすれば虫歯は必ず治るため、虫歯治療の数年後にまた虫歯になることは現実的に考えられず、それは歯科医師の除去不足などによるものが原因だといいます。

私たちが当たり前に「インプラント」や「高い詰め物」をまず勧め「直す」方しか知らない歯科医師ではなく、こうした虫歯を「治す」ことにも真摯に向き合う歯科医師が良い歯科医師とされるのではないでしょうか。

 

そうした良い歯科医師と出会うためには、私たち患者も私たちの歯や口腔空間についての環境にもっとよく関心を寄せる必要があります。

まず私たちの歯がどうなっているのか。歯科医師とはどのようなことを使命とするのか、私たちの歯が虫歯になったとき歯科医師はどのようなことで「治す」ことを実現するのか、または「治す」ということに関心がある歯科医師なのか。また、治療した私たちの歯をどのように「直す」のか、その技術は。

またその根底にある虫歯予防や歯の健康を考えた日々の生活習慣は正しいか。どのようにブラッシングをすれば良いのか。

 

いつも口を開ければそこにある歯、食べ物を食べる際に当たり前にしている咀嚼、明るい笑顔を印象付ける歯。そのすべては私たちの歯です。

虫歯になった歯は治療で悪化しないようにでき、詰め物や入れ歯で機能的に元の歯の環境にすることは可能ですが、完全にもとと同じ歯に戻ることはありません。

これがなくなったときにその大事さに気づいては、歯は元に戻らないのです。悪ければ将来、不健康な歯は抜け落ちてしまうでしょう。

みなさんもそうなる前に、常日頃から自分の歯や口腔空間に関心を持って、より良い歯科医師と出会えるように心がけてみてはいかがでしょうか。

 

今回の講師宮田先生は府中市宮西町にある「みどりの杜歯科クリニック」の院長であり、初診に必ず歯科治療についての説明会を開催し、患者の歯を自分のことのように真剣に考えカウンセリングしてからの治療を徹底している歯科医師です。

自分の歯について、少し真剣に考えたいとお考えの際は、こうした歯科医師にも出会ってみることもおすすめいたします。