第39回 府中文化村

認知症になっても、安心して暮らせるまちに

〜認知症サポーター養成講座〜

(2017.9.12開催)

 

今回は医療法人社清新会ピースプラザ 府中地域包括支援センターかたまちより、センター長の菅原良子先生と介護予防コーディネーターの岡田久司先生をお招きして「認知症になっても、安心して暮らせるまちに」という講習会を開催いたしました。

 

この講習会は府中市高齢者支援課 地域包括ケア推進係後援のもと、お二人の講師に認知症サポーター養成講座を府中文化村で行っていただきました。

認知症サポーターとは、NPO法人地域ケア政策ネットワークのキャラバンメイトの講師による講座を受講し、

「認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族を温かく見守る応援者として自分のできる範囲で活動する」人のことです。認知症の人の杖として支える人を養成しようというこの講座は厚生労働省が推進する「認知症サポーターキャラバン」の全国的な展開です。

わがまち府中では、認知症の方が住み良いまちになるようにささえあいの地域が作れるよう、認知症サポーターのことを「ささえ隊」と呼んでいます。

 

講座自体は認知症の理解として、認知症の原因や症状、認知症の予防などの基礎知識の講習と、ケーススタディとして実際に認知症の方と遭遇したときの対処についてどうすれば良いかといった対応講習の二部構成で行われます。

 

認知症はアルツハイマー病などによる原因で脳の細胞が死んでいき、脳が萎縮していくことによる中核症状と本人の性格や環境、人間関係などの要因が絡み合って、精神症状や日常生活における行動上の問題が起きてくる行動・心理症状(BPSD)、その他身体的症状が起きます。

認知症はただ単に加齢によるもの忘れのことだと思っている方がいますが、脳の病気であることを理解することが大事だといいます。

したがって、それぞれの症状は個体差があるものの、そのすべてで「早期発見、早期受診・診断、早期治療が何よりも重要だそうです。

早い時期の診断で認知症の原因と治療による症状の緩和や、病気の理解により生活上の障害を軽減できることができる点や、症状によっては内科的または外科的治療により回復する場合もある点が早期診断・治療のメリットです。

 

実際に認知症の方と接するときの心構えとしては、認知症の方がどのように感じているかということを学びます。

例えば、食事をしたことを例にとると老化によるもの忘れは食事をしたことは覚えているが何を食べたか献立が思い出せないといった「うまく出力できない」状態に対し、認知症は「食事をしたこと自体を忘れてしまう」という違いがあります。こうしたように認知症の方はついさっきのことそれ自体を忘れてしまいますが、過去のことは覚えていることが多いため「今を忘れることに対する不安」を抱えているといいます。

家族との実生活上の物事や会話でずれや障害が出てくることが、自分が行動様式を忘れてしまったことによる失敗だったり記憶障害による家族のいらだちなどから自身のプライドが傷ついたり、不安や怒りなどからまたトラブルとなることがあるそうです。

認知症の方は記銘力や判断力などに障害が発現しても、「認知症本人に自覚がない」「認知症の人は何もわからない」などということはなく、それ以外のことは普通の人と同じように行動したり生活したりすることができます。そのため、自身の状況がなんとなく理解できるからこそ心配し苦しんでいる。認知症の人への接し方はこのように本人のプライドに配慮し、本人の残存能力に働きかけたりさりげなく自然に支えてあげるように接することが大切だそうです。

 

このような基礎知識とワークスタイルで実際に認知症の人とどう接するかという約60分から90分の講習を経て、認知症サポーターささえ隊として認定されます。

本日講師をしていただきましたお二人は、府中市内11箇所に展開する府中市地域包括支援センターのキャラバン・メイトですが、地域包括支援センターは介護保険法で位置付けられているため、日本全国にありどこでもこの活動をしています。

この支援センターは65歳以上の高齢者の相談や認知症の家族からの相談など、本人とその家族という個別でありながら包括的に支援してくれる機関です。

認知症サポーター養成講座は受講無料で行われているため、より多くの人が受講し一人でも多くの認知症サポーターが増えることが認知症の方が住み良く暮らせるまちづくりの第一歩だと思います。

 

この府中市でも数多くの高齢者が暮らしています。高齢化率は21.4%と5人に1人が高齢者の割合ですが、そんな高齢者の中でも認知症の方は少なくありません。

認知症はボケなんかではなく、脳の病気です。ですが記憶障害になっても実際の実生活上は他の高齢者と同じように行動したり生活したりできることもあります。

私たちが認知症を正しく理解し、接し方や対応を正しく行えるようになれば、認知症の方や高齢者も住みやすいまちとしてこの府中で安心して暮らすことができる一つになるでしょう。

認知症の方もその家族も安心して暮らせるまちになるということは、誰もが誰をも「見守り」誰にでも優しいまちになるということであり、それは同時に誰にとっても住み良いまちになることだと思います。

そうしたまちづくりの第一歩を、私たち府中文化村から発信したいと考えます。

 

今回の認知症サポーター養成講座や認知症に関する相談は、今回の講師である方々が所属する「府中市地域包括支援センター」までお気軽にお問い合わせください。